旬の特集
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文書作成日:2018/1/25

 平成25年6月19日に障害者の雇用の促進等に関する法律(以下、「障害者雇用促進法」という)が改正されました。この改正により、平成28年4月1日に、障害者に対する差別の禁止や合理的配慮の提供が義務化され、また、平成30年4月1日には法定雇用率の算定基礎の見直しが行われます。この法定雇用率の算定基礎の見直しに伴い、障害者の法定雇用率が引上げられ、法定雇用率の未達成企業に対する指導も増加することが予想されます。そこで、障害者雇用率未達成の企業への指導等について確認しておきましょう。


 障害者雇用率制度とは、障害者がごく普通に地域で暮らし、地域の一員として共に生活できる「共生社会」実現の理念の下、すべての事業主に対し、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務のことを言います。この法定雇用率は、原則として5年ごとに見直しが行われており、平成30年4月1日以降、民間企業では2.0%から2.2%に引上げられます。なお、平成33年4月までには更に引上げられ、2.3%になることが決定しています。


 障害者雇用率制度はあるものの、障害者の雇用が進まない現状があるため、障害者雇用納付金制度が設けられています。これは障害者の雇用に伴う経済的負担を調整するため、障害者を多く雇用している事業主の経済的負担を軽減し、事業主間の負担の公平を図りつつ、障害者雇用の水準を高めることを目的として設けられている制度です。
 具体的には、法定雇用率が未達成となっている企業のうち、常用労働者100人超の企業から、障害者雇用納付金を徴収し、徴収した納付金を元に法定雇用率を達成している企業に対して、調整金、報奨金を支給するものです。各々の額は以下のとおりとなっています。

1)障害者雇用納付金
 不足1人当たり月額50,000円を徴収
 ※平成32年3月まで、常用労働者100人超200人以下の事業主は月額40,000円に減額
2) 障害者雇用調整金
 常用労働者100人を超える事業主に対し、超過1人当たり月額27,000円を支給
3) 障害者雇用報奨金
 常用労働者100人以下の事業主に対し、障害者を4%または6人のいずれか多い数を超え雇用するときに 月額21,000円を支給


 障害者の着実な雇入れを実施するよう、障害者の実雇用率の低い事業主に対して、ハローワークが中心となり雇用率達成指導を行うことになっています。これは、従業員50人以上の事業主に提出が義務付けられている、障害者雇用状況報告(毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況)に基づき、以下に該当した企業について、障害者の雇入れに関する2年間の計画を作成することの命令が公共職業安定所長から発出されることから始まります(下図参照)。

【障害者雇用率達成指導基準】
(1)全国平均雇用率未満かつ障害者雇用述不足数5人以上
(2)法定雇用数が3〜4人であって、障害者の雇用が0人の企業
(3)障害者雇用の不足数が10人以上の企業

 雇入れ計画の作成後は、その計画を実施することになりますが、計画の実施状況が悪い企業に対しては、適正に実施する勧告が計画1年目の12月に出されます(雇入れ計画の適正実施勧告)。更に、雇用状況の改善が特に遅れている企業に対し、公表を前提とした特別指導が計画期間終了後に9ヶ月間実施されます(特別指導)。それでも、雇用状況に改善が見られない企業について、厚生労働省ホームページ等で企業名が公表されます(企業名の公表)。なお、不足数の特に多い企業については、その企業の幹部に対し、厚生労働省本省による直接指導も実施されることになっています。


 現時点では、平成29年3月に行われた企業名公表が一番新しい情報ですが、2社の企業名が公表されています。いまのインターネット社会を考えると、一旦、企業名が公表されると、その情報は消しがたいものとなります。少なくとも達成指導の対象とならないように、法定雇用率未達成の企業は取組みを強化していきましょう。また、障害者の雇用については、社会的貢献という観点からも不足人数分の障害者雇用納付金を納付すればよいというわけではなく、積極的な雇用に対する取組みが求められています。

■参考リンク
厚生労働省 「障害者雇用対策」

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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